「kintoneって、結局のところ何ができるんですか?」
カタログやホームページを見ると「業務アプリが作れます」「ワークフローが自動化できます」と書いてありますが、それが自分たちの会社の課題に合っているかどうかは、読んでもよくわからないことが多い。
この記事では、「実際に何ができて、何が苦手か」をお伝えします。
検討中の経営者・管理職の方や、社内で導入担当になったバックオフィスの方に、判断材料として活用していただければと思います。
この記事でわかることは、次の3つです。
- kintoneでできること・できないこと
- Excelとの違いと、中小企業に向いている理由
- 失敗しにくい導入の進め方
バックオフィスDXを支援してきたHachidai Lab.が、経理・総務・製造現場の実務に寄り添う目線で整理していきます。
目次
kintoneとは? 3行でわかる基本
kintone(キントーン)は、サイボウズ株式会社が提供するクラウド型の業務アプリ作成プラットフォームです。
「Excelで管理していた情報をデータベース化し、社内でリアルタイムに共有できる仕組みを作る」と理解するとわかりやすいです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供会社 | サイボウズ株式会社 |
| サービス形態 | クラウドSaaS(インターネット環境があればどこでも使える) |
| 主な特徴 | ノーコード・ローコードで業務アプリを作成・改善しやすい |
| 料金の目安 | ライトコース 月額1,000円/1ユーザー(税抜)〜 |
| 導入実績 | 42,000社以上(2026年2月27日時点) |
| 向いている用途 | 申請管理、案件管理、顧客管理、進捗管理、日報、問い合わせ管理など |
kintoneの強みは、単なるデータ保存ではなく、次の3つを1つの基盤で扱いやすい点にあります。
- データの蓄積
- 業務フローの可視化・運用
- コメントによるコミュニケーション
つまり、これまで紙・Excel・メール・口頭で分断されていた業務を、ひとつながりで管理しやすくなります。
kintoneでできること
データ管理・一元化(受注・在庫・顧客情報など)
| 業務例 | kintoneで解決できること |
|---|---|
| 受注情報の管理 | Excelを個人フォルダで管理していた受注台帳を、社内全員がリアルタイムで参照できるアプリに移行できる |
| 顧客情報の共有 | 担当者が変わっても引き継ぎ漏れが起きにくい、顧客・取引先マスタを作れる |
| 在庫管理 | 紙の台帳や個人管理のExcelを、入庫・出庫・残数が一目でわかる形に整備できる |
製造業の現場では、「受注は営業が持っているExcel、在庫は現場が管理しているノート、出荷情報は経理がExcelに入力」という状態がよく見られます。kintoneを使うと、これらを1つのシステムで連携させ、二重入力や確認作業を減らすことができます。
ワークフロー・申請承認(経費精算・稟議・休暇申請)
経費精算や稟議、休暇申請などの社内手続きを、kintoneのワークフロー機能(承認ルートを設定した申請フロー)で電子化できます。
- 紙の申請書を廃止し、スマートフォンやPCからいつでも申請できる
- 承認者が誰で、今どのステータスかが一目でわかる
- 申請履歴が自動で蓄積されるため、月次集計が楽になる
「経費精算の書類が行方不明になった」「承認待ちのまま放置されていた」という課題を持つバックオフィス担当の方には、特に実感しやすい機能です。
帳票・進捗の見える化
kintoneはグラフや一覧表(レポート機能)を設定しておくことで、案件の進捗状況や売上の推移をダッシュボード形式で確認できます。
- 受注残・出荷予定の一覧を毎朝確認できる
- 案件ごとの対応状況(未対応・進行中・完了)をひと目で把握できる
- 月次の数字を集計するためのExcel作業を削減できる
「社長が現場の進捗をリアルタイムに把握できない」「月末にならないと数字がわからない」という課題を抱えている場合に効果が出やすいです。
外部サービスとの連携(PCA、freee、API)
kintoneは外部のサービスと連携(データをつなぐ設定)して使うこともできます。よく活用されるのは以下のようなケースです。
- PCAクラウド(会計・給与ソフト)との連携
kintoneで入力した売上・経費データをPCAに自動的に受け渡す仕組みを作ることができます。詳しくは「PCAクラウドとkintoneの連携方法4選|CSV・プラグイン・自動連携を比較」も参考にしてください。 - freee・マネーフォワードとの連携
会計ソフトと接続し、手動転記の手間を省く - APIを使った連携(API:システム同士がデータをやり取りするための仕組み)
独自システムや他クラウドサービスとのデータ連携
ただし、連携の複雑さや対応可否は連携先システムの仕様によります。「うちのシステムとつながるか」は、導入前に個別に確認が必要です。
モバイル対応・現場入力
kintoneはスマートフォン・タブレットからも操作できます。
- 工場の現場から、作業日報や品質記録をその場で入力できる
- 外出先の営業担当が、スマートフォンから商談記録を入力できる
- 現場から本社へのリアルタイム情報共有が可能になる
製造業の現場担当者にとっては「事務所に戻ってからパソコンで入力する」手間が省けるため、記録の鮮度と精度が上がりやすいです。
Excelと何が違う?
Excelは優れた表計算ツールですが、業務が複数人・複数部署にまたがると限界が出ます。
kintoneとの違いは、次の5点に整理できます。
- 最新データが1つに集まる。ファイルのコピーが増えず、情報の先祖返りが起きにくい
- 申請・承認・差し戻しといった業務の流れを、データと一緒に持てる
- コメントと履歴がデータ本体に残るため、「何について話していたか」を後から追える
- アプリ・レコード・フィールド単位で権限を考えられるため、公開範囲を業務に合わせられる
- 使いながら項目や一覧を見直せるため、小さく始めて育てる進め方と相性がよい
なお、Excelをやめること自体が目的ではありません。
高度なカスタマイズより先に基本機能で足りることが多い、という点は次の記事で詳しく書いています。
▶ 「脱Excel 実現の秘訣は高度なカスタマイズよりも基本機能にある」
kintoneでできないこと・向かないこと
kintoneは非常に優れたツールですが、「何でもkintoneで作ればいい」というわけではありません。ここを正しく理解しておくことが、導入失敗を防ぐポイントです。
会計処理そのものや給与計算の中核業務は、専用システムが基本
会計ソフトや給与ソフトには、法改正対応、税計算、法定帳票、各種制度対応など、専用ならではの機能があります。
これらをkintoneだけで置き換えようとすると、設計も保守も重くなりがちです。
そのため実務では、
- kintone:申請、承認、情報収集、進捗管理
- 会計ソフト・給与ソフト:会計処理、給与計算、法定対応
という役割分担が現実的です。
大規模で高度な基幹業務を、最初から全部置き換えるのには向かない
販売管理、生産管理、在庫管理、会計、人事給与までを一気に丸ごと置き換える前提で考えると、設計が複雑になります。
まずは一部の業務から始めて、必要に応じて連携を広げる進め方が向いています。
業務整理なしで導入しても、効果は出にくい
kintoneは魔法のツールではありません。
現状業務が整理されていないままアプリ化しても、紙やExcelの問題をそのまま持ち込むだけになりやすいです。
会計ソフトとの使い分けは、先に決めておく
kintoneは「業務の入口と流れ」を整えるツール、会計ソフトは「会計処理を正しく行うツール」です。
経費精算なら、kintoneで申請して上長が承認し、確定したデータを会計ソフトへ渡す。
仕訳・帳票・月次処理は会計ソフト側で行う。この分担が現実的です。
問題は「どうやって渡すか」で、方法によって費用も手作業の量も変わります。
kintoneの料金プランは?中小企業に向いているのはどちら?
kintoneには主に3つのプランがあります(2026年3月時点。最新情報はサイボウズ公式サイトをご確認ください)。
| コース | 月額(税抜) | 最小契約ユーザー数 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| ライトコース | 1,000円 / 1ユーザー | 10ユーザー | 基本的なアプリ運用向け |
| スタンダードコース | 1,800円 / 1ユーザー | 10ユーザー | API連携、プラグイン利用など本格活用向け |
| ワイドコース | 3,000円 / 1ユーザー | 1,000ユーザー | 大規模利用向け |
中小企業の実務で考えると、ポイントは次の通りです。
ライトコースが向いているケース
- まずは小さく試したい
- 外部連携やプラグインをまだ使わない
- 申請管理や一覧管理を中心に始めたい
スタンダードコースが向いているケース
- 会計ソフトや他システムと連携したい
- プラグインを使って機能を広げたい
- 本格的に業務基盤として育てていきたい
なお、2026年6月にリリースされた kintone AI は、スタンダードコースまたはワイドコース向けの機能です。
AI支援を見据える場合も、スタンダードコースが候補になります。
そのため、中小企業では 「まず軽く使うならライト」「連携や拡張を考えるなら最初からスタンダード」 という見方が現実的です。
kintoneが向いている企業・向いていない企業
向いている企業
- Excel管理が増えすぎて、最新版がわからない
- 紙・メール・口頭で業務が分断されている
- まずは一部の業務からDXを始めたい
- 現場の実態に合わせて少しずつ改善したい
- 大規模なシステム投資の前に、スモールスタートしたい
すぐには向いていない企業
- 最初から全社基幹システムを一気に置き換えたい
- 業務整理をせずにツールだけ導入したい
- 現場運用を変える意思がまったくない
kintoneは、完成品を買って終わりではなく、自社で使いながら育てるツール です。
その前提を理解している企業ほど、効果を出しやすくなります。
失敗しないkintone導入の進め方
うまくいかない原因は、機能不足よりも進め方にあることがほとんどです。押さえるべきは4点です。
- いきなり全社導入しない。困りごとが明確な1業務に絞る
- 今のExcelをそのまま写さない。列やシート構成ではなく「何を管理したいか」から見直す
- 実際に入力する人・承認する人を、設計の初期段階から巻き込む
- 「誰がいつ入力するか」「例外はどうするか」まで決めてから運用を始める
実際にどこでつまずくのか、5つの失敗パターンと見直し方は次の記事にまとめています。
2026年時点で押さえたいkintoneのポイント
2026年のkintoneを理解するうえで、特に押さえておきたいのは次の2点です。
1. ノーコードだけでなく、AI支援も広がっている
kintoneは従来からノーコード・ローコードで知られていましたが、現在はAIによるアプリ作成支援や検索支援、プロセス設定支援なども展開されています。
これにより、はじめてアプリを作る人でも最初の一歩を踏み出しやすくなっています。
2. 連携前提で考えると価値が大きい
kintone単体でも便利ですが、他システムとつないだときに真価が出やすいツールです。
特に中小企業では、会計ソフト、帳票出力、通知、フォーム、コミュニケーション基盤などとの連携で、二重入力や転記作業を減らしやすくなります。
よくある質問
kintoneはプログラミングができなくても使えますか?
はい。基本的なアプリ作成や一覧表示、プロセス管理は、プログラミングなしでも進めやすい設計です。
ただし、高度なカスタマイズや複雑な連携では専門知識が必要になる場合があります。
Excelを完全になくせますか?
業務によります。
多くの企業では、まず「共有管理」「申請」「進捗確認」からkintoneへ移し、必要に応じてExcel利用を減らしていく流れが現実的です。
小さな会社でも導入できますか?
はい。
ただし、契約は10ユーザーからが基本です。小規模企業でも、複数部署や複数担当者で情報共有したい場面があるなら、十分検討価値があります。
会計ソフトの代わりになりますか?
会計ソフトそのものの代替として考えるのはおすすめしません。
kintoneは、申請・承認・情報管理を担い、会計処理は専用ソフトに任せる分担が現実的です。
何から始めるのがよいですか?
まずは、メール添付や紙で回している業務を洗い出し、1つ選ぶのがおすすめです。
「属人化している」「確認漏れが多い」「進捗が見えない」業務から始めると、効果が見えやすくなります。
まとめ:kintoneは、業務と人と情報を「つなぐ」ツール
- kintoneはノーコードで自社専用の業務アプリを作れるクラウドツール。
- Excelとの最大の違いは「複数人・複数部署でリアルタイムに安全に共有・編集できる」点。
- 経理、総務、製造現場など、あらゆるバックオフィスの課題解決に活用可能。
- ただし「万能」ではないため、会計・給与などの専門領域は「PCAクラウド」等との連携がベスト。
- まずは特定の課題に絞ってスモールスタートし、段階的に適用範囲を広げるのが成功の秘訣。
kintoneは導入しただけで勝手に業務が楽になる「何でもできる魔法のツール」ではありません。
自社の業務の実態にしっかりと合わせて設計・運用できれば、バックオフィスの担当者が単なる「入力作業の担当者」から、「データを活用して会社を支える戦略的パートナー」へと生まれ変わる強力な武器になります。
【次のステップ(First Action)】
まずは、自社の業務の中で「メールにExcelを添付してやり取りしている業務(バケツリレー)」がいくつあるか、リストアップしてみることから始めてみませんか?それがkintone化の第一歩です。
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Hachidai Lab.(ハチダイラボ)
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