お知らせ・ブログ

  1. HOME
  2. お知らせ・ブログ
  3. 業種別・製造業特集
  4. kintoneで在庫管理|できること・できないこと・製造業の現実的な始め方

kintoneで在庫管理|できること・できないこと・製造業の現実的な始め方

「kintone(キントーン)で在庫管理はできますか?」

これは、私たちHachidai Lab.へのご相談の中でも多い質問の一つであり、またkintone界隈の中でも頻繁に、そして最も熱く議論され、話しても話しても尽きないテーマの一つです。

この問いに対して、「kintoneに在庫管理は向かない」という厳しい意見を耳にすることもあります。

しかし、Hachidai Lab.的結論は、「kintoneで在庫管理はできないわけではない」です。

重要なのは、在庫管理を行う目的を正しく理解し、kintoneの標準機能に適切なプラグインや連携サービスを組み合わせることです。

これさえ押さえれば、Excelや紙の管理から脱却し、現場主導の強力な在庫管理システムを作ることは十分に可能です。


💡 まずはここだけ押さえる

  • 【結論】kintone在庫管理は「受払の見える化・共有」なら得意です。
    製造業の現実解は、まず パターン2(入庫+出庫+在庫表) で小さく始めることです。
    • できる(向いている):入出庫の記録/在庫共有/棚卸差異の理由・証跡を残す
    • 苦手(工夫が必要):複雑な原価計算/秒単位の引当制御/大量高速スキャン
    • おすすめの一手:まずは 「入庫・出庫を正しく残す」→在庫ズレ原因を追える 状態へ
  • こんな会社はkintone在庫管理が向きます
    • 多品種少量で、管理項目が自社独自(素材・規格・棚番など)
    • Excel運用で在庫ズレが起きても原因が追えない
    • 現場と事務所で「同じ数字」を共有したい
    • 棚卸や入出庫の記録から段階的に育てたい
  • こんな場合は注意(専用検討+連携が現実的)
    • 秒単位で在庫を奪い合う(同時引当が必須)
    • フリーロケ×大規模(場所が頻繁に変わり移動が多い)
    • 3階層以上の多階層BOMを厳密に回す必要がある

目次

在庫管理の本来の目的とは:数量把握と資産計算

「よし、kintoneでアプリを作ろう!」と動き出す前に、絶対に整理しておきたいのが「管理の目的」です。

実は、一口に在庫管理と言っても、見る人によって「見たい情報」が全く違います。

ここを混同したままシステムを作ると、「現場は使いにくい」「経理は数字が合わない」という失敗に直結します。

在庫管理で知っておくべき「2つの視点」

見たい情報が違う、とは、

  1. 現場の視点(営業・製造):「今、使える数(実在庫・有効在庫)」
    現場の在庫管理は、ひと言でいえば欠品と遅延を防ぐためのものです。
    「今この瞬間、売れるか」「明日、作れるか」を判断する材料になります。
  2. 経理の視点(バックオフィス):「締めて説明できる数(資産)」
    経理にとって在庫は、単なるモノの数ではありません。
    決算・税務・経営判断に直結する、会社の資産(棚卸資産)です。

この2つの視点の違いを理解し、視点に合わせたアプリ設計をすることがkintoneで在庫管理を行っていくうえで欠かせないものになります。
以下に、それぞれの視点の違いから、「見たい情報」の違いをまとめます。

① 知りたいこと

現場の視点(営業・製造)

  • 今、出荷できる在庫はあるか
    (有効在庫:実在庫−引当)
  • 材料が足りるか
    (工程を止めないための確認)
  • どこにあるか
    (固定ロケ/棚番/保管場所)
  • いつ入ってくるか
    (入荷予定・製造予定)
  • 欠品の兆候はないか
    (発注点割れ、残数わずか)

経理の視点(バックオフィス)

  • 月末・期末時点の在庫金額
    (資産としての評価)
  • なぜ増減したか
    (購入・製造・出荷・廃棄・不良など)
  • 棚卸差異の理由
    (説明できる状態か)
  • 評価減が必要な滞留在庫はあるか
    (長期滞留、陳腐化)
  • 監査・税務で説明できる証跡があるか
    (受払記録・修正履歴)

重視するポイント

現場の視点(営業・製造)

  • 更新頻度
    日次〜リアルタイム寄り(日々の運用優先)
  • スピード
    入力も確認もその場でできること
  • 使える精度
    多少の例外があっても、意思決定できること
  • 続く運用
    入力項目が少なく、現場の負担が増えないこと

経理の視点(バックオフィス)

  • 更新頻度
    月次〜期末(月締めの処理優先)
  • 説明できる正確性
    1円単位で整合し、根拠が残ること
  • 締め処理の設計
    棚卸→差異理由→修正→承認の流れがあること
  • 例外への強さ
    廃棄・返品・不良などが記録されること

代表的なKPI

現場の視点(営業・製造)

  • 欠品件数
  • 納期遅延
  • 発注点割れ
  • 緊急発注の回数

経理の視点(バックオフィス)

  • 棚卸差異
  • 滞留在庫
  • 在庫回転率
  • 評価減対象額

「2つの視点」について、もっと深く知りたい方はこちら(導入前に必ず読んでいただきたい「マインドセット」の記事です) 👉 kintoneで在庫管理はできる?その前に知っておくべき「2つ」の視点

なぜExcel・紙管理からkintoneへ?導入のメリット

多くの現場が依然として依存しているExcelや紙の管理。「慣れているから」という理由で使い続けがちですが、会社が成長するにつれ、これらは業務の「足かせ」になります。

kintoneへ移行すると、次の改善が起きやすくなります。

共有スピードが上がる(最新どれ?が消える)

  • 全員が同じ画面で「今の在庫」を確認できる
  • 誰かが開いていて編集できない、が起きにくい(注意:同時編集はkintoneでもゼロではありません。)
  • 現場・事務所・拠点間の確認が速くなる

原因追跡ができる(ズレが“追える”)

  • 入出庫の記録と、修正理由が残せる
  • 棚卸差異が出ても、受払から辿れる
  • 属人化した「勘と経験」から抜けやすい

現場入力が成立しやすい(その場で完結)

  • スマホ・タブレットから入力できる
  • 写真添付で不良や破損の証拠を残せる
  • バーコード運用に拡張しやすい

特に重要なのが「履歴(ログ)が残ること」です。「いつの間にか在庫がズレているが、原因が分からない」という在庫管理最大のストレスから解放されるのは、kintone導入の大きな価値です。

正直に解説:kintone在庫管理の「得意」と「不得意」

kintoneは「魔法の箱」ではありません。得意なことと、苦手なことがあります。ここを理解せずに導入すると、「思ったのと違う」という失敗に繋がります。

kintoneで「できること(向いていること)」

kintoneは「情報の記録・共有・見える化」が得意です。

柔軟な項目設定
「色・サイズ」だけでなく、「素材・ロット番号・保管場所・担当者」など、自社独自の管理項目をマウス操作だけで自由に追加できます。

周辺業務との連携
在庫管理だけでなく、「顧客ごとの修理履歴」や「レンタルの貸出管理」など、在庫に紐づく別の業務もワンストップで管理できます。

スモールスタート
最初は「在庫を見るだけ」、慣れたら「入出庫も入力」、次は「バーコード導入」といったように、現場の習熟度に合わせてシステムを育てられます。

kintoneで「できないこと(向いていないこと)」

kintoneは「複雑な自動計算・高速処理」が苦手です。

複雑な原価計算
「移動平均法」などの在庫評価単価の自動計算は、標準機能ではできません。
(→ 会計ソフトや基幹システムに任せるのが正解です)

同時アクセス制御
ECサイトのタイムセールのように、0.1秒を争って在庫を引き当てる処理には向きません。
(→ 専用システムの領域です)

大量高速スキャン
1時間に何千回も「ピッ、ピッ」と連続スキャンする作業は、標準機能では遅延が生じます。
(→ プラグイン等が必要です)

※ただし、これらは「プラグイン」や「連携」で解決できる場合があります。

なぜ「不得意」があるのか?

kintoneには「トランザクション管理」がありません。例えば、有効在庫が残り1個のときに2人が同時に注文ボタンを押した場合、基本機能では両方の注文が通ってしまい、在庫がマイナスになるリスクがあります。

また、「フリーロケーション管理」をkintoneで行うと、レコード数が爆発的に増え、パフォーマンスが著しく低下する傾向があります。大規模・高速な処理が必要な場合は、専用の在庫管理システムの検討を推奨します。

始めやすいkintone在庫管理「3つの設計パターン」

製造現場の状況に合わせた、現実的な導入パターンを3つ提案します。

パターン1:シンプル入出庫管理

部品点数が少ない現場向け。「商品マスタ」「入出庫履歴」の最小2アプリで構成します。まずは「どこに何があるか」の見える化から着手します。

例えば商品ごとに1か月1レコード作成し、レコード内のテーブルに1か月の入出庫を入力していくやり方や、1つの入庫出庫ごとに1レコード作成し、kintone基本の集計機能で在庫表を作成するというやり方があります。

入庫と出庫を別のアプリに分け、その差引計算で「現在庫」を算出する設計です。 Hachidai Lab.として最も推奨する形ですが、一つ注意点があります。

実はkintoneの標準機能だけでは「Aアプリ(入庫)とBアプリ(出庫)を集計してCアプリ(在庫)に表示する」という処理が苦手です。無理やり標準機能でやろうとすると運用が複雑になるため、このパターンでは「krewData」や「gusuku Customine」といった集計プラグインの導入がほぼ必須となります。

「コストがかかるのか…」と思われるかもしれませんが、月額数千円〜の投資で、Excel集計の手間がゼロになり、正確な在庫が見える化されるため、費用対効果は非常に高いです。

在庫管理にも使用できるプラグイン・連携サービス

パターン3:引当在庫や仕掛品(工程)見える化

受注が入った時点で在庫を確保する「引当」のロジックを組み込んだり、「プロセス管理」によるステータスや生産工程などと連動せて在庫を増減させる仕組みを構築します。

これにより、実在庫はあるが出荷予定済みである「有効在庫」を把握し、欠品トラブルを防ぐことができるようになりますが、少し高度な処理が必要になるため、あらかじめ要件や業務フローを整理してから実装することをお勧めします。

失敗しないための「スモールスタート」4ステップ(例)

在庫管理をExcelや紙からkintoneへ移行する際、最初から完璧なシステムを目指すと、現場の混乱や運用コストの肥大化を招くリスクがあります。そのため、まずは最小限の機能でスタートし、徐々に拡張していく「スモールスタート」が推奨しています。

ステップ1:準備と棚卸のデジタル化(現状把握)

システムを作り込む前に、まずは「正しいデータ」を用意し、スポット業務でkintoneに慣れる段階です。

  • マスタデータの整備
    M-001」と「m-001」、「ネジA」と「ねじA」のような表記ゆれがあると、システムは別物として扱ってしまいます。Excel管理時代に蓄積されたデータの汚れを、導入前に徹底的にクレンジング(修正)することが成功の絶対条件です。ここだけでも外部の知見を借りる価値があります。
  • 棚卸業務のみ先行導入
    日々の入出庫入力はまだ行わず、月次や期末の「棚卸(在庫カウント)」だけをkintone化します。「棚卸アプリ」を作成し、タブレット等で実在庫数を入力する運用を試します。これにより、現場スタッフがkintoneの操作に慣れつつ、初期在庫データを確定させることができます

ステップ2:記録の一元化と見える化(PoC/並行稼働)

まずは「在庫の増減をkintoneに記録する」ことだけを目指します。自動計算などの高度な機能は後回しにします。

  • 基本の4アプリ構成
    1. 商品マスタ
      品目情報の管理
    2. 入庫アプリ
      入荷実績の記録
    3. 出庫アプリ
      出荷実績の記録
    4. 在庫アプリ
      現在庫数の表示(この段階では簡易的な計算や手動更新でも可)
  • 並行稼働
    最初の1〜2ヶ月は既存のExcel台帳とkintoneを並行して運用し、月末に数値が一致するか検証します(PoC:概念実証)。
  • 現場入力の開始
    事務員だけでなく、現場担当者がPCやスマホから入出庫データを入力する体制を作ります。まずは手入力やドロップダウン選択などの標準機能で運用し、UI(画面)の使い勝手を検証します。

ステップ3:自動化と効率化(プラグイン・バーコード導入)

記録が定着したら、入力ミスを減らし、作業スピードを上げるための投資を行います。

  • 在庫計算の自動化
    「krewData」や「gusuku Customine」などのプラグインを導入し、入出庫アプリに登録があった瞬間に在庫アプリの数値が自動更新される仕組みを構築します。これにより、リアルタイムな在庫把握が可能になります。
  • バーコード運用の開始
    手入力を廃止し、プラグインを用いて、スマホやハンディ端末でのスキャン入力を開始します。これにより、誤入力(ヒューマンエラー)を激減させ、現場の作業負荷を下げます。

ステップ4:全社連携と分析(高度化)

単なる「数」の管理から、「状態」や「業務フロー」を含めた管理へと進化させます。

  • 品質ステータスの管理
    kintone標準の「プロセス管理(ワークフロー)」機能を有効化します。例えば、入庫時は「試験待ち」ステータスとし、品質管理部門が承認(合格)して初めて「出庫可能」ステータスに変わるといった制御を組み込みます。
  • 在庫引当(予約)の実装
    受注が入った時点で在庫を確保する「引当」のロジックを組み込みます。これにより、実在庫はあるが出荷予定済みである「有効在庫」を把握し、欠品トラブルを防ぎます。
  • 帳票出力
    「PrintCreator」など帳票出力プラグインを導入し、納品書や現品票、ピッキングリストをkintoneからワンクリックで印刷できるようにします。
  • 高度な分析(BI)
    「krewData」や「krewDashboard」を活用し、在庫回転率、滞留在庫、受払簿(在庫推移表)などのレポートを自動生成し、経営判断に役立てます。

成功のための重要ポイント

  • 機能を盛り込みすぎない
    初期段階から「ロット管理」「発注点自動計算」「多倉庫管理」などすべてを実装しようとすると、入力項目が増えすぎて現場が疲弊し、失敗の原因になります。
  • 運用ルールの徹底
    システムだけでなく、「実在庫とデータが合わない場合の修正フロー」や「間違いを見つけた時の報告ルート」など、アナログな運用ルールも合わせて整備することが不可欠です。

まずはステップ1(マスタ整備・棚卸)」から着手し、現場の反応を見ながら次のステップへ進むことをお勧めします。

よくある質問(FAQ)

Q. kintoneだけで在庫管理を完結できますか?

目的が「受払の見える化」「部門間共有」中心なら可能です。倉庫内のロケーション最適化や、厳密なロット・期限管理が主役なら、連携ツールや専用システムの導入が現実的です。

Q. 現場が入力してくれないのが心配です

入力項目が多すぎると入力側への負担になります。まずは最小構成(パターン1:シンプル入出庫管理)から始め、バーコード連携などで現場の負担を極限まで減らす設計が鍵です。

Q. 棚卸・締め処理はどう設計しますか?

フロントの運用(日々の在庫)と、経理の締め要件(月次の資産確定)を分けて設計します。
kintone上で「棚卸アプリ」を作成し、実棚との差異理由を記録して承認するフローを組むことで、「棚卸差異の説明ができる状態」を作れます。

Q. どれくらいの期間で運用開始できますか?

最小構成(棚卸→受払記録)なら、現場の状況次第で短期に開始できます。重要なのは機能より運用。まずPoCで回して改善するのが近道です。

Q. 費用感はどれくらい見ておけばいいですか?

最初は標準機能中心で始め、必要になった段階で集計・バーコード・帳票などを段階導入するのが現実的です。
(要件により変わるため、無料相談で整理すると無駄な投資を避けられます)

まとめ:自社に合った「ちょうどいい」在庫管理を

kintoneでの在庫管理は、標準機能という土台に「プラグイン」というスパイスを加えることで、高価な専用システムにも引けを取らない、自社にジャストフィットするシステムになります。

何よりの価値は、現場の作業者と経営管理者が「全く同じ数字」をリアルタイムに共有できることにあります。

Hachidai Lab.の無料相談のご案内

「うちの場合は、どこから始めるのが正解なんだろう?」
「現場と経理、両方の意見を聞いて交通整理をしてほしい」

そのように迷われた際は、ぜひHachidai Lab.にご相談ください。
私たちは単にアプリを作るだけでなく、「御社の業務における在庫管理の目的」を一緒に整理し、最適なルート(構成)をご提案いたします。

まずは現在のExcel管理の一部をアプリ化することから、デジタル変革(DX)の第一歩を踏み出してみませんか?


Hachidai Lab.(ハチダイラボ)

kintoneを活用した業務改善のパートナー。

ご相談・お問い合わせ

まずは、今の状況をお聞かせください。

相談内容がまとまっていなくても大丈夫です。どこから見直せそうか、一緒に整理します。