「kintoneに売上情報を入力し、それを見ながら振替伝票を起票して、会計ソフトに手入力する」
これまで紙やノート、個人のExcelで管理していたものが、kintoneによってリアルタイムで共有できるようになった。それだけでも、現場にとっては大きな変化です。
ですが、最後の「別のシステムへ入れ直す」という手作業が残っていると、せっかくの効率化が途中で止まってしまいます。
できれば入力は最初の一回にしておきたい。あとはシステムが連携して情報が流れていってほしい。でも、自分で高度なプログラムを書くのは難しい。
そんなときに一つの選択肢になるのが「kintone × 奉行クラウド連携」です。
この記事では、そもそもなぜkintoneと奉行クラウドを分けて連携するのかという「役割分担の考え方」と、非エンジニアでも一歩目を踏み出しやすい「3つの連携方法」を整理してご紹介します。
目次
経理の仕事は「記録」と「処理」に分かれる
経理やバックオフィスの業務でkintoneを使っていると、「これもkintoneでできそう」と思うことがよくあります。
- 申請から承認までの流れを回す
- 請求データを管理する
- 売上を集計し、表やグラフで可視化して共有する
- 給与計算に必要な情報を集める
kintoneは自社の業務に合わせて柔軟にアプリを作ることができるので、いろいろな業務をkintoneに集めることができます。
ですが、経理業務を全部kintoneでやればいいのかというと、私はそうではないと思っています。
経理の仕事は、大きく「記録する仕事」と「処理する仕事」に分かれるからです。
- 販売管理なら、見積・受注・売上といった日々の「記録」はkintoneで自社の形に合わせて持つ。そのあとの請求や入金消込は、販売管理システムで「処理」する。
- 経費精算なら、申請から承認まではkintoneで回し、会計処理は会計システムに任せる。
- 給与も、計算のもとになる勤怠はkintoneで集め、社会保険や税金の計算は給与システムに渡す。
会計や給与は、毎年の法改正への対応も必要になります。そこまで全部をkintoneで抱えるより、専門的な処理はそれを得意とするシステムに任せるほうが、結果的に安全で確実ではないでしょうか。
「正確に処理するために、あえて役割を分ける」という考え方です。
kintoneで「記録」して、奉行クラウドで「処理」する
「奉行クラウド」は、株式会社オービックビジネスコンサルタント(OBC)が提供する、会計・人事給与・販売管理などをまとめて扱えるクラウドの業務システムです。
業務ごとにサービスが分かれていて、会計なら「勘定奉行iクラウド」、販売管理なら「商奉行iクラウド」や「商蔵奉行iクラウド」、といった具合に選びます。
(参考:奉行クラウドとは?中小企業が導入前に整理したい5つのこと)
kintoneと奉行クラウドを組み合わせるときは、次のように役割を分担します。
| システム | 役割の考え方 | 主な担当業務 |
| kintone | 自社の業務に合わせて、情報を集めて共有する | 日々の記録、申請・承認、社内共有、進捗管理 |
| 奉行クラウド | 決められたルールで、正確に処理して記録する | 会計処理、給与計算、売上・請求の処理、税・社会保険 |
私はこの役割分担を、「kintoneで入口を整えて、奉行クラウドで専門的な処理をする」と考えています。
それぞれのシステムで、それぞれが得意なところを担当する。それが経理業務を無理なく効率化する大きなポイントです。
役割を分けるからこそ「連携」が必要になる
役割を分けるということは、使うシステムが複数になるということです。
そしてシステムが複数あると、その境目で入力作業が発生しやすくなります。
- kintoneで受注を入力し、その画面を見ながら販売管理システムにも同じ内容を入力する
- kintoneで経費精算を承認し、その内容を見ながら会計システムにも入力する
同じ情報を、2回入力していることになります。
マスタも同じです。kintoneに得意先を登録し、奉行クラウドにも同じ得意先を登録する。住所が変わったら、両方のマスタを修正する手間が発生します。もし片方を修正し忘れれば、今度はどちらが正しいデータなのかわからなくなってしまいます。
複数のクラウドサービスや業務システムを使い分けると、この「二重入力」「二重管理」はどうしても起こりやすくなります。せっかくkintoneを入れて効率化したのに、そのあとの入力が増えてしまってはもったいないですよね。
そこで必要になるのが連携です。
kintoneに入力したものが奉行クラウドに反映される。片方を直せばもう片方も直る。一度入力した情報を、二度入力しなくていい状態にする。
連携の目的は、システムをつなぐことそのものではありません。同じことを二度やらなくていいようにすること。
それがシステムを連携させる理由だと私は思っています。
kintoneと奉行クラウドを連携する3つの方法
私のような非エンジニアでも取り組みやすい連携方法として、大きく3つの方法が挙げられます(※このほかにもAPI開発や外部連携ツールを使う方法などはありますが、まずは代表的な3つに絞って整理します)。
| 連携方法 | 費用感 | 特徴・向いている段階 |
| ① CSVで連携する | 追加費用なし | 手入力の転記をなくすシンプルな方法。件数が少ないうちや運用ルールを固めたい段階に |
| ② 奉行クラウドとkintoneの連携プラグイン | 追加費用なし(※対象契約内) | OBC公式のアプリテンプレートとプラグイン。最初の一歩として踏み出しやすい |
| ③ krewData「奉行連携オプション」 | 有償オプション | データの集計・加工や双方向連携に対応。自社の業務に合わせて柔軟につなぎたい場合に |
① CSVで連携する
まず一番シンプルなのがCSVです。
kintoneからCSVファイルを出力して、奉行クラウドへ取り込む。もしくは、奉行クラウドから出力したCSVをkintoneへ取り込む方法です。
完全な自動連携ではありませんが、手入力で一件ずつ転記する必要はなくなります。
いきなり自動化を作り込むより、「まず二重入力をなくす」ところから始めるなら、CSVで十分に効果が出る場面は多いはずです。件数が少ないうちや、運用ルールがまだ固まっていないうちは、むしろこちらのほうが安全に進められると思います。
② 奉行クラウドとkintoneの連携プラグイン
OBCから、kintoneと奉行クラウドをつなぐためのアプリテンプレートとプラグインが公開されています。取引先・得意先マスタ、予算管理、売上実績、請求書、固定資産、旅費交通費申請など、業務ごとに用意されています。
(参考:「奉行クラウド」と「kintone」連携 – OBC公式サイト)
これらは追加料金なしでダウンロードできます。メーカーが公式に用意してくれているものが最初からある、というのはユーザーにとってありがたいところです。
「まずkintoneと奉行クラウドをつないでみたい」という場合、むしろこちらのほうが安全に進められます。
③ krewDataの「奉行連携オプション」
3つ目が、2026年6月にメシウス株式会社の「krewData」に追加された、「奉行連携オプション」を使う方法です。
(参考:krewData、「商奉行クラウド」「蔵奉行クラウド」との連携オプションを提供開始)
krewDataは、ノーコードでkintoneのデータを集計・加工できるプラグインです。もともとデータの加工が得意なので、ただそのまま移すだけの連携にならないところが特徴です。
たとえば、次のような使い方が考えられます。
- kintoneの受注データを加工してから商奉行クラウドへ送る
- 奉行クラウドの売上実績をkintoneへ取得して、kintoneで管理している予算と突き合わせる
- 複数のkintoneアプリを集計してから奉行クラウドへ渡す
奉行クラウドから取得するだけでなく、kintoneから書き戻す双方向の連携にも対応しています。
ただし、有償のオプションとなります(スモール:月額5,500円/ミドル:月額7,700円。krewData本体とは別契約/2026年9月時点)。
費用はかかりますが、個人的にはここに一番可能性を感じています。
まとめ:まずは「二度入力しなくていい状態」への一歩から
今回は「kintone × 奉行クラウド」について、なぜ連携するのかという役割分担と、3つの連携方法を整理してみました。
kintoneと奉行クラウドには、それぞれ得意な領域があります。
日々の業務で発生する情報をkintoneで記録し、その情報を奉行クラウドで専門的に処理する。この役割分担ができると、経理業務の仕組みも変わってくるはずです。
そして連携の目的は、システム同士をつなぐことではありません。
一度入力した情報を、もう一度入力しなくていいようにすること。
最初から完璧な自動化を目指さなくても、まずはそこから一歩を踏み出してみるのがよいのではないでしょうか。
ご相談・お問い合わせ
私はこれまで、kintoneと会計・販売管理システムの連携には主にPCAクラウドで取り組んできましたが、同じ考え方で奉行クラウドの活用・連携支援にも取り組んでいます(2026年8月にOBCビジネスパートナーとなりました)。
「kintoneは入れたけど、結局そのあと会計ソフトに手入力している」という状態の整理は、Hachidai Lab.でもご相談を受けています。どの連携方法にするか決める前の段階からでも、どうぞお気軽にお声がけください。
Hachidai Lab.(ハチダイラボ)
kintoneを活用した業務改善のパートナー。