「kintoneに受注や売上の情報が入っているのに、それを見ながらPCAクラウドへもう一度手入力している」
「CSVや連携プラグインがあることは知っているが、自社にはどの方法が合うのかわからない」
kintoneとPCAクラウドを併用していると、このような「システムの境目」での再入力や確認作業が残ってしまうことがよくあります。
PCAクラウドとkintoneをつなぐ方法は、大きく分けて次の4つです。
- CSVで受け渡す
- CSVとkrewDataを組み合わせる
- PCA公式の連携プラグインを使う
- ノーコード連携ツールなどで自動化する
もちろん、どれか一つがすべての会社にとっての正解というわけではありません。
まずは小さく試してみたいなら「CSV連携」。データの集計や加工の手間も減らしたいなら「krewDataとの組み合わせ」。対象製品が合い、定型的な連携から始めたいなら「公式プラグイン」。複数のサービスをまたいで自動化したい場合は「ノーコード連携ツール」などが候補になります。
ただ、大切なのは連携ツールを先に決めることではなく、「どのデータを」「どのタイミングで」「誰の確認後に」PCAクラウドへ渡すのかという業務の流れを先に整理することだと考えています。ここが曖昧なままだと、システムをつないでも確認作業が別の場所に移るだけになってしまうことがあるからです。
この記事では、4つの連携方法の特徴と、自社ではどこから一歩目を踏み出すのがよさそうかを判断するための材料を整理してご紹介します。
- ▶ PCA公式プラグインについて詳しく確認したい方は、PCAクラウド連携プラグインでできることと導入前の確認点もあわせてご覧ください。
- ▶ まだkintone導入自体を迷われている方は、経理×kintone|紙・Excel経理から抜け出すためのkintoneという選択肢をご覧ください。
目次
経理業務を「全部kintoneで作る」のではなく、役割を分ける
kintoneは、自社の業務に合わせてアプリを柔軟に作れるクラウドサービスです。使っていると「これもkintoneでできそう」と感じる場面が多くあります。
もちろん、申請から承認を回したり、日々の売上や入金情報を集めたりする部分はkintoneが得意とするところです。
一方で、会計処理や販売管理の締め処理、給与計算といった領域は、少し性質が異なります。
- 毎年のように変わる法改正や税制への対応
- 会計ルールに則った正確な処理
- 決算や申告を見据えたデータの整合性維持
これらをすべてkintoneだけで再現しようとすると、設計もその後の運用・保守も急に難しくなります。法改正のたびに自力でアプリを改修し続けるのは、現場にとっても大きな負担になりやすいのではないでしょうか。
実際の現場では、すでにPCAクラウドなどの会計・販売管理ソフトが安定して稼働しているケースが多いと思います。
だからこそ、「全部をkintoneで抱え込む」のではなく、「専門的な処理はPCAクラウドに任せ、その手前の業務をkintoneで整える」という役割分担のほうが、無理なく進めやすいと考えています。
kintoneとPCAクラウド、それぞれの得意なこと
連携の方法を見る前に、2つのツールの役割の違いを改めて整理しておきます。役割を意識すると、どこをつなげばよいかのイメージが湧きやすくなります。
kintone(キントーン)|現場の情報を集め、共有する「入口」
サイボウズ社が提供する、プログラミングなしで業務アプリを作成できるクラウドサービスです。「データベース」「プロセス管理(承認フロー)」「コミュニケーション(コメント)」が一体になっているのが特徴です。
- 主な担当領域:
- 案件管理、日報、経費・支払申請、タスク管理など
- 紙やExcel、メールに散らばっていた情報を一箇所に集める
- スマホやPCから、現場が入力しやすい画面で記録する
現場の業務に合わせて、自分たちで項目や画面を直しながら育てていける「柔軟性」が大きな強みです。
PCAクラウド|会社の数字を正確に処理する「基盤」
ピー・シー・エー株式会社(PCA)が提供する、会計・販売管理・給与計算などの基幹業務クラウドサービスです。インボイス制度や電子帳簿保存法など、法改正への対応もメーカー側で行われます。
- 主な担当領域
- 財務会計(仕訳計上、試算表・決算書の作成)
- 販売・仕入・在庫管理(見積・受注・売上・請求・入金消込)
- 給与計算、年末調整、社会保険手続き
こちらは「決められたルールに沿って、間違えてはいけない数字を正確に処理する」ための機能が揃っています。
2つのシステムは「お互いに補い合う関係」
このように整理すると、kintoneとPCAクラウドはどちらか一方を選ぶものではなく、お互いの得意分野を補い合う関係にあります。
| システム | 役割の考え方 | 主な担当業務 |
| kintone | 業務の入口を整え、情報を集めて共有する | 現場の入力、申請・承認、進捗管理、部門間での情報共有 |
| PCAクラウド | 決められたルールで、専門的な処理を行う | 会計処理、請求・締め処理、給与計算、法的要件への対応 |
「kintoneで入口を整えて、PCAクラウドで専門処理を行う」という分担ができると、現場の使いやすさと経理の正確性を両立しやすくなります。
連携すると、現場の業務はどう変わるのか
実際にkintoneとPCAクラウドをつなぐと、たとえば次のような流れがつくれます。
① 売上データの連携(営業 → 経理)
営業担当者がkintoneで受注・売上を入力し、上長が承認する。その承認済みデータをPCA商魂(販売管理)へ渡すことで、売上伝票が作成されます。経理担当者はkintoneの画面を見ながら手入力し直す必要がなくなり、納品書や請求書の発行へスムーズに進めます。
② 入金・消込データの連携(経理 → 会計・販売)
kintoneの「入金管理アプリ」などで整理した入金情報を、CSVやプラグインを通じてPCAクラウドへ取り込むことで、入金伝票の起票や消込作業の手間を減らすことができます。
③ 勤怠データの連携(総務 → 給与)
kintoneアプリで集めた出勤日数や残業時間などの集計データをPCA給与へ渡すことで、毎月の給与計算前の転記作業をなくし、確認に集中できるようになります。
役割を分けたまま「連携しない」と起こりやすいこと
一方で、kintoneとPCAクラウドを併用していても、その間がつながっていないと次のような負担が残りやすくなります。
- 二重入力の発生
kintoneに入力された売上や支払申請を見ながら、PCAクラウドへもう一度同じ内容を入力する - マスタのズレ
kintoneとPCAクラウドの両方に取引先や商品を登録し、片方の修正を忘れて表記やコードが合わなくなる - 確認・突合の手間
数字が合わなくなったときに、「どちらのデータが正しいのか」を突き合わせる時間が増える
たとえば、営業担当者がkintone上で注文の金額や納期を修正したものの、経理への連絡が漏れてしまい、PCAクラウド側では修正前の内容で請求書を出してしまった——というケースです。
これは誰かの注意力が足りないからではなく、「同じ情報を2つの場所に手で入れている構造」があるために起こります。
連携の目的は、高度な仕組みを作ることそのものではありません。「一度入力した情報を、二度入力しなくていいようにすること」。まずはそこを目指していくのが大切だと思っています。
kintoneとPCAクラウドをつなぐ4つの方法
非エンジニアでも段階に合わせて取り組みやすい方法として、次の4つがあります。
| 連携方法 | 費用感 | 導入のしやすさ | 自動化の範囲 | 向いている段階・ケース |
| ① CSV連携 | 追加費用なし | 取り組みやすい | 手動(出力→取込) | まずは二重入力をなくし、データの流れを確認したい段階 |
| ② CSV + krewData | 中(プラグイン費用) | 普通 | 手動(自動整形→取込) | 複数アプリの集計や、PCA形式へのデータ加工を自動化したい場合 |
| ③ PCA公式プラグイン | 追加費用なし(※対象契約内) | 普通 | 半自動(ボタン操作など) | 対象製品が合い、定型的な連携をシンプルに行いたい場合 |
| ④ ノーコード連携ツール | 中〜高 | やや設計が必要 | 自動(スケジュール・トリガー) | 複数のクラウドサービスをまたいで自動化を進めたい場合 |
① CSV連携|まずはここから一歩目を踏み出す
もっともシンプルで、すぐに始められる方法です。「kintoneからCSVファイルを出力し、PCAクラウドへ取り込む(またはその逆)」という流れになります。
ファイルの出力と取り込みという手作業は残りますが、画面を見ながら1件ずつ手で打ち直す必要はなくなります。
- 追加のツール費用がかからない
- 仕組みがシンプルで、何が起きているか把握しやすい
- 取り込む前に人の目で確認を挟める
いきなり自動化を作り込むよりも、件数が少ないうちや運用ルールが固まっていないうちは、まずCSV連携から試してみるのが安全で確実な一歩目になると思います。
② CSV + krewDataによる連携
kintoneの項目とPCAクラウドのCSV項目がそのまま1対1で合わない場合や、複数のkintoneアプリのデータを合算してからPCAへ渡したい場合に有効なのが、メシウス株式会社のプラグイン「krewData(クルーデータ)」を組み合わせる方法です。
- 打刻アプリや残業申請アプリなど、複数の勤怠データを集計してPCA給与向けの形に整える
- 経費精算や支払申請アプリから、承認済みのデータだけを抽出して仕訳データの形に加工する
- PCA商魂から出力した売上データをkintoneに取り込み、予算データと突き合わせてグラフで可視化する
「ただデータを移すだけ」ではなく、kintone側での集計や加工の手間も減らしたいときに、とても頼りになる選択肢です。
③ PCAの公式プラグインを使った連携
次のステップとして検討しやすいのが、PCA公式の「PCAクラウド連携プラグイン for キントーン」を使う方法です。
- ファイル出力・取込の手間を減らし、画面上の操作でデータを受け渡せる
- メーカー公式のプラグインであり、PCAクラウドの対象ユーザーであれば追加費用なしで利用できる
最初にCSV連携などで「どのデータをいつ渡すか」という社内の流れを確認してから公式プラグインへ進むと、自社に合うかどうかの判断もしやすく、運用が定着しやすくなります。
④ ノーコード連携ツール(Yoomなど)
さらに自動化の範囲を広げたい場合は、Yoomなどの外部連携ツール(iPaaS)を使って、承認されたタイミングで自動的にPCAクラウドへ連携させる方法もあります。
ただ、最初から無理にここまで作り込む必要はありません。エラーが起きたときの確認手順や保守のしやすさも考えながら、社内の運用が固まってきた段階でステップアップしていくのがよいのではないでしょうか。
まとめ|最初から完璧を目指さず、小さく始めて育てていく
- kintoneは「業務の入口」、PCAクラウドは「専門処理の基盤」として役割を分ける
- 連携の目的は、同じ情報を二度入力しなくていいようにすること
- 最初はCSV連携など、小さく試せる方法からで十分
- 運用しながら、現場に合わせて段階的に整えていく
「すべてを全自動でつなげないと意味がない」ということは決してありません。
まずは「今まで毎回打ち直していた作業が、CSV取り込みで数分で終わるようになった」という小さな変化をつくること。そして、実際に使いながら少しずつ仕組みを育てていくこと。それが、現場に無理なく定着する業務改善だと私は考えています。
kintone × PCAクラウド連携のご相談について
私は前職で15年間、経理・総務の実務に携わりながら、自社でkintoneとPCAクラウドの連携・業務改善を実践してきました。その経験をもとに、Hachidai Lab.では実務者の目線からバックオフィス改善を支援しています。
- 「連携したほうがよさそうなのはわかるけれど、自社の場合は何から手をつければいいかわからない」
- 「CSV、krewData、公式プラグインのどれが自社に合うか一緒に整理してほしい」
- 「システムの設定に入る前に、まず今の業務フローや転記箇所を整理したい」
といった段階からでも大丈夫です。相談内容がまとまっていなくても、今の状況をお聞きしながら一緒に整理していきますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
Hachidai Lab.(ハチダイラボ)
kintoneを活用した業務改善のパートナー。