「デモを見たが、どの製品も良さそうに見えて決められない」
「部門ごとに要望が増え、どこまで見積もりへ含めるか決まらない」
「見積もりをもらったが、何が含まれていて何が別料金かがわからない」
基幹システムの見直しでは、製品比較から始めることがよくあります。ただ、比較の軸が自社側にないと、機能の多さや画面の印象で判断することになりがちです。
この記事は、製品比較をやめるためのものではありません。デモと見積もりを、自社の判断材料に変えるための確認点をまとめたものです。
なお、比較の前に社内で整理しておきたいことは、奉行クラウドとは?中小企業が導入前に整理したい5つのことにまとめています。この記事は、その整理を持って製品を見にいく段階の話です。
目次
その前に:避けたい3つの進め方
デモや見積もりの前に、この3つに当てはまっていないかを確認します。当てはまったまま比較を始めると、何を基準に決めたのか後から説明できなくなります。
1. 最初から全部門・全業務を対象にする
会計、販売、給与、勤怠、申請を同時に見直すと、関係者と確認事項が一気に増えます。全体最適を目指したつもりでも、判断が止まり、どの課題を解決する計画なのか見えにくくなります。
まずは「請求書を作るまで」「承認済み経費を会計へ反映するまで」など、始まりと終わりを説明できる業務を一つ選びます。小さな範囲で進め方を固めると、次の業務へ展開しやすくなります。
2. 現在のExcelや帳票をそのまま再現する
今使っている表や帳票には、長年の工夫が詰まっています。一方で、使われていない列、同じ内容の重複入力、担当者しか意味を知らない記号が残っていることもあります。
見た目をそのまま再現する前に、各項目について「誰が入力しているか」「次の工程で本当に使われているか」「同じ情報を別の場所にも入力していないか」を確認します。必要な業務は残し、過去の作り方だけを引き継がないことが大切です。
3. 運用開始後の担当者を決めない
導入時には担当者がいても、運用開始後の変更や問い合わせを誰が受けるか決まっていないケースがあります。取引先や社員の追加、締め日の変更、エラー対応、権限変更、操作質問、改善要望など、運用中には小さな判断が続きます。
この3点目は、デモの段階から確認できます。詳しくは後述します。
導入目的を一文で決める
比較の軸は、目的の一文から作ります。「クラウド化する」ではなく、困っている場面がわかる言葉にします。
- 月末に各部署からExcelを集める作業を減らす
- 受注確定後の転記と確認を減らす
- 給与計算前の勤怠確認を期限内に終える
目的が一文で決まると、必要な機能と、今回は後回しにする要望を分けられます。デモの最中に新しい機能を見て範囲が広がりそうになったとき、立ち戻る場所にもなります。
やめる・残す・仕組みに任せるを分ける
現在の作業を3つに分けておくと、デモで「何を見せてもらうか」が決まります。
| 分類 | 判断の例 |
|---|---|
| やめる | 誰も使っていない集計表、同じ情報の再入力 |
| 残す | 金額の最終確認、専門家の判断、顧客との合意 |
| 仕組みに任せる | 定型計算、一覧化、期限通知、確定データの受け渡し |
人の確認をすべてなくすことが目的ではありません。人が判断すべき場面と、繰り返し作業を分けます。「残す」に入れた作業は、システムを変えても残る前提で見積もりを考えます。
デモは、自社の同じシナリオで見る
ここが、比較を成立させる一番のポイントです。
製品ごとに用意された説明を聞くだけでは、比べる対象がそろいません。自社の業務シナリオを一つ決めて、どの製品にも同じ流れを見せてもらいます。
シナリオの作り方
対象業務の「始まり」「通常の流れ」「よくある例外」を、5〜10行で書きます。
たとえば販売管理なら、こうなります。
1. 受注が入る(月100件、うち3割は数量変更あり)
2. 出荷を確認する
3. 請求書を作成する
4. 上長が確認する
5. 送付する
6. 入金を消し込む
7. 会計へ反映する
例外: 請求後に数量が変わる/月末に間に合わない/入金額が合わない
デモで見せてもらう場面
シナリオができたら、次の場面を実際に操作して見せてもらいます。画面の美しさではなく、自社の担当者が毎日触ったときに無理がないかを見ます。
- 通常の1件を、最初から最後まで登録する
- 途中で内容を修正する
- 承認を差し戻す、取り消す
- 例外のケースを処理する
- 必要な帳票を出す
- 月末の締め処理を行う
- 他システムへ渡すデータを出力する
特に確認したいのは、例外の処理と修正のしやすさです。正常な流れはどの製品でも問題なく見えます。差が出るのは、間違えたときと、想定外のことが起きたときです。
現場の担当者に同席してもらう
デモに出るのが管理者だけだと、入力の負担が判断に入りません。実際に毎日入力する人が1人でも同席すると、「この画面を1日30回開くのはつらい」といった判断ができます。
見積もりは、含まれる範囲を分けて確認する
見積もりを比べるときは、金額の合計だけを見ません。何が含まれ、誰が担当するかを分けて確認します。
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 製品利用料 | 対象サービス、利用人数、契約期間、更新時の扱い |
| 初期設定 | どこまでを誰が行うか。自社作業として残る範囲 |
| データ移行 | 対象データと期間、移行前の整理は誰がやるか、移行後の照合方法 |
| 他システム連携 | 対象、方法、追加費用の有無 |
| 操作説明 | 回数、対象人数、実施方法、資料の有無 |
| 運用開始後の支援 | 問い合わせ窓口、対応範囲、期間、費用 |
分けて見ると、金額の差が「対応範囲の差」なのか「単価の差」なのかがわかります。安く見える見積もりに自社作業が多く残っている、という形はよくあります。
価格と契約条件は、対象製品や構成によって変わるため、個別のご確認が必要です。
社内で決めておきたい担当者
デモと見積もりの前に、役割を決めておきます。決めていないと、デモに出た人の印象で話が進み、あとから別の人の要望が出てやり直しになります。
| 役割 | 主な判断・作業 |
|---|---|
| 最終判断者 | 対象範囲、予算、契約、開始時期を決める |
| 業務責任者 | 現在の手順、締め日、例外処理を決める |
| 実際の入力担当者 | 操作性、入力負担、現場で困る場面を確認する |
| システム・支援担当 | 設定、移行、テスト、問い合わせ窓口を整理する |
| 税理士・社労士等の専門家 | 会計・税務・労務の判断が必要な内容を確認する |
一人が複数の役割を兼ねても構いません。ただし、誰が最終判断し、誰が運用開始後を受け持つかは分けておきます。運用開始後の担当が空欄のまま契約に進むと、稼働してから「誰に聞けばいいかわからない」状態になります。
デモの前に、社内の整理を済ませておく
ここまでの内容は、対象業務、現在の流れ、例外、移行するデータが整理できていることが前提です。その整理は、書き込めるチェックシートにまとめています。
まとめ:比較の前に、自社の判断軸を作る
デモと見積もりを自社の判断材料にするために、次の4つを準備します。
- 導入目的を一文で決める
- やめる・残す・仕組みに任せる作業を分ける
- 自社の業務シナリオを一つ作り、どの製品にも同じ流れを見せてもらう
- 見積もりを、製品利用料と作業範囲に分けて確認する
そのうえで、運用開始後の担当まで決めてから契約へ進みます。
Hachidai Lab.では、現在の帳票やExcelを確認しながら、製品選びの前に整理すること、デモで確認すること、運用開始までに決めることを分けます。
「比較を始めたが、社内の要望をまとめられない」という段階でも、現在地からご相談ください。 <!– CTAボタン(公開可能な支援範囲とURLの確認後に設定) –>
